お隣さんと内緒の恋話
葵に渡されたティッシュを小さめにちぎり鼻に入れて隠すようにして鼻血を止める。
時間は5時近く。
鼻血もいつしか止まり、今から何をしようかと考える。
「 今からどうする?」
「 ん~… 」
デートしたいって言ったら 葵 困るかな…
「 あのさ、その辺でもブラつく?」
「 それ… デート?」
「 いや、ブラつくだけのデートなんかつまんないよな 」
「 そんなことない!葵とブラつきたいよ 」
デートなんて、葵がいれば何にでもデートになるんだよ!
一緒なら、なんだっていんだよ。
「 じゃあ、公園にでもいく?」
「 行く!」
ラフすぎる格好で 外に出ようとしたが、私は玄関先で葵に向かい合った。
「 葵、前髪下ろして 」
「 前髪… なんで?」
なんでって… そりゃあ カッコいいの隠したいからよ。
「 いいよ、椿が取って 」
「 私が?」
葵に言われて 私は腕を伸ばす。
葵が頭を少し下げ、髪に触れる。
ドキドキ、ドキドキ… 早くなる鼓動。
葵の髪…
「 椿…」
ドキッと跳ねた私の心臓の心拍数はMAXだ。
見つめないで、また鼻血出ちゃう…
葵との至近距離が さらに縮まる。
葵っ…
葵が私に触れる寸でのところで、なんともタイミング良く インターホンが鳴った。
パッチリ互いの視線が交差し、固まった。
誰…
邪魔したの誰っ!?
葵は私に し~っと仕草を見せ返事をする。
「 はいっ… 」
「 …その声、葵くん?」
え、葵くん? …知り合い?
私の顔を見る葵は 声の主が誰かわかったのか ハッとした。