アサガオを君へ
私はそんな栄治の表情の変化に気付きながらも、手元に残ったわたあめをかじった。


栄治は私の知っていた頃のような幼い声じゃなく、声変わりした大人の声。


夏樹であって夏樹ではない声をもっと低くして言った。


「なに、それ」


私は首をかしげる。


こういうところ、夏樹にそっくり。


言葉を人に伝えるのが苦手なところ。


でも私には栄治の言いたいことは全然分からない。


栄治は不機嫌そうに眉間にしわを寄せて、心底吐き気がするとでも言いたげに私を見下ろした。


「何で青の浴衣なわけ。…いや、言わなくてもいい。一番良くわかってる」


「うん」


ただ私はそう一言つぶやいた。


すると気に食わなかったらしく、私を強く睨みつけた。


「結局、何も変わってないんじゃん。心も兄貴も」
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