アサガオを君へ
私の叔父さんが持っていた昔の雑誌に載っていた靴を、昔から夏樹が欲しがっていた。


でも販売中止になっていて、いろんなお店を探してようやく新品を手に入れたのが去年の秋。


夏樹の誕生日にプレゼントしてあげたとき、いつも通り反応は薄かったけど…。


特別な日や私と遊びに行くときは必ず履いてきてくれるから、とても嬉しかったんだと思う。


私は土に指を差し込み、4つ穴を作り種を入れていく。


そしてしゃがみ込んだままの夏樹に言った。


「リュックありがと。取りに行く手間が省けたよ」


「ん」


私は夏樹の返事を聞いて種に土をかぶせ、ゾウさんジョウロを持った。


そして近くの水道まで行き蛇口をひねる。


さっきまで、ワイワイと玄関先が盛り上がっていたが、いつの間にかそれも静まっている。


< 13 / 224 >

この作品をシェア

pagetop