アサガオを君へ
次の教科は古典だったらしく、先生が挨拶もそこそこに授業を始めた。


しばらく私は夏樹の後ろ姿を見つめ続けた。


でも振り返る気配はない。


私は頬杖を付いた。


何も言わないんだね。


そんな感情は、一度膨れ上がるとなかなか消えてはくれなかった。


だから、私はそっと仕舞い込むことにした。


心の奥の方に。


昔から消えて欲しいことは心の奥に仕舞い込んだ。


怒りや悲しみや辛さ。


どうしようもないことは全部仕舞い込む。


そうすると、消すことはできなくても忘れることはできた。


私は夏樹から、黒板に視線を移した。


そしてノートを開き、黒板の汚い字を自分の字に直して写した。
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