アサガオを君へ
栄治を見つめたまま。


夏樹は私の方を向いてくれない。


私は掴んでいた裾を放した。


そして私は勢いよく夏樹の前に出てカーテンをガシャッと閉めた。


あまりにもいきなり動いたから、息切れする。


心臓から送り出される血が一気に体中を駆け巡って、頭に血が上った。


興奮で涙が自然と浮かぶ。


でもカーテンを閉め切った教室は、とても薄暗くて私の顔なんてあまり見えない。


私は深呼吸をして振り返る。


ようやく目があった。


薄暗くても分かる、こげ茶の瞳。


夏樹。


ねぇ、私だけを見てて。


そうしたら、きっと夏樹が傷つくことなんて無いから。


私は自分でも驚くくらい落ち着いた声で言った。


「写真撮ってよ。私、いまだに夏樹が人の写真を撮ってるの見たこと無い」
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