ヒスイ巫女4

大人達

蒼と陸は巫女の国の幹部として国を支えている。
そのための会談と言っても緋音がいるので本来の会談ではない。
緋音は幹部の妻である為特例としてよく会談に入れてもらっているが最重要の会談などになるとさすがに不参加となる。
今回の会談はそのような重要な会談ではない。
ただの世間話だ。
「最近、蛍どうしてるんだろう?」
蛍は悪魔の力を手に入れた後急に
「俺、出ていくわ」
と出ていってしまった。
あとから聞く限り蛍は
「ヒスイのそばに蒼がいるから俺が守らなくていいから出ていく」
という事だった。
いつもどこかの地域をぶらりとして人助けをしているらしい。
時々絵はがきが届く。
「また、どこかで人助けでもしてるんじゃねぇかー」
陸はだるそうに言った。
蛍は人助けをするたびに
[巫女の国の蛍]
と叫んでその場を去るらしく巫女の国に感謝状が届くそれはいいのだが、
蛍は人助けの時に力を使いすぎたといって建物を壊したり歴史的重要な武器を使ったりと感謝状と共に請求書も送られてくる。
その処理をすべて陸がやってる為、陸的には仕事を増やして欲しくないようだ。
ヒスイや蒼は陸に頭が上がらない。
「あ、そういえばヒスイ宛てに手紙届いてたぞ。」
陸はカバンから手紙を出した。
その手紙の差出人は蛍であった。
ヒスイが手紙を見ると陸に
「大会のエントリーって終わってる?!」
大会とは巫女の国主催の武闘会。優勝商品は100万円というかなり大きなお祭り事
「いや、終わってるがどうした?」
「ケ、ケ、蛍がエントリーしといてって帰ってくるからって。」
陸は少し悩んで
「なら後でエントリーしといてやるよ。可愛い妹の頼みだからな」
「…シスコン」
緋音がボソッと言った。
陸には聞こえてないようでヒスイの頭をなでている。
「すまんな、陸いつも弟が迷惑かけて」
蒼はそう頭をさげながらさりげなくヒスイを自分の方に引き寄せていた。
「いやいや、いいよ。蒼にはよく働いてもらってるし、その分ぐらいしか俺蛍の仕事受けてないし。」
陸もきっぱりいったがつまり蒼が働かないと蛍に借金が貯まるという事だ。
「ヒスイ、仕事増やしていいか?」
「え、え?イ、いいけどでも」
ヒスイは陸の手を握り
「お兄ちゃんお願い」
「もちろん!すべてこっちで払わしていただきますよ」
「・・・ドシスコン」
緋音がぼそっと言った。
「だって蒼!」
「ありがとうヒスイ」
ヒスイは蒼が仕事を増やすのはいいが家族との時間をあまり減らしたくなかったのが本心だ。
だから陸に頼んだというわけだ。
これを無意識にしているヒスイは悪女なのかもしれない。
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