一年の華
素顔
5月中旬。

まだ夏の暑さもなく、春の肌寒さも消えかけた快適な季節。

柔らかな日差し。

暖かいそよ風。

それらが窓から注ぎ込まれ、干したての布団に包まれた気分になる。

「…眠い。」

「また?」

「次って現国だっけ…?絶対寝る。」

「頑張れ。」

俺の机に座りながら窓の外を眺めていたマサヒロは、呆れ気味にこっちを見て笑った。

「俺、昼食べると必ず眠たくなるから、これから昼抜きにしよっかな…。」

机に伏せながら呟くと、「実験してみれば?昼抜いたら眠くならないか。」というマサヒロの言葉を最後に、俺は夢の世界に引き込まれた。
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