【完】幼なじみのあいつ


「…あのね、もし別れたのなら私と付き合ってくれないかな?」



今だコソコソ話している美香ちゃんに、翔ちゃんは顔を背ける。


無視を決めこむようだ。




「…翔君?」


翔ちゃんの名前を呼んだのを最後に、美香の声は聞こえなくなった。



本当に早紀ちゃんと別れちゃったのかな?


ううん、あの2人はもの凄く仲が良いもん。



美香の勝手な憶測じゃないの?




本当の所、どうなんだろう?


気になってもう一度、翔ちゃんを見ようとしたら急に視界が暗くなった。




「…具合が悪いなら、目を瞑っていた方がいい」


亮ちゃんの手が、私の目元を覆う。


その為、目の前には暗い空間が広がった。



亮ちゃんも今の会話、聞こえてたのかな?




「亮ちゃん、…翔ちゃん、早紀ちゃんと別れちゃったって本当かな?」


「…さぁ、どうだろうな?」



何ともそっけない態度に、驚いてしまった。


翔ちゃんと亮ちゃんは今までベタベタするほどの仲ではなかったけれど、それでもお互い穏やかな関係だったはず。



やっぱり二人の間で、何があったのか知りたいな。



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