【完】幼なじみのあいつ
「疲れてるから行かない」
いつものちょっとチャラけた感じの翔ちゃんとは違って、仏頂面ではっきりと言ってのけている事に驚いた。
何か、美香に冷たくない?
「えー!……翔君さぁ、昨日から態度がやけに冷たいけど何かあったぁ?」
甘えた声の美香に別に…、と言いながら下を向く翔ちゃん。
翔ちゃんが下を向いた事によって、自然と私と翔ちゃんの目が合わさってしまった。
目を見開いた翔ちゃんはその後、私から目を逸らすのかと思いきやそのままジッと見つめている。
私としては恥ずかしくてすぐにでも目を逸らしたいのに、真剣眼差しで私を見る翔ちゃんから何故目が離せないでいた。
お互いにジッと見詰め合ったままの私達---
「ねぇ翔君?小耳に入ったんだけどさ、翔君と彼女別れたんだって?」
美香は周りに聞こえないようこっそり言っていたけど、私の耳にはその言葉がしっかりと入ってきた。
別れたってどう言う事?
目を見開く私に、翔ちゃんは気まずそうに私から視線を外した。
えっ?!
翔ちゃん、彼女と別れちゃったって本当なの?
何で?