【完】幼なじみのあいつ
「いいよ、宜しくね」
香織が美香に向かって言った。
その答えに満足したのか微笑み、そして美香はじゃぁ宜しくね…と言った後、軽く手を上げ去って行った。
「……………」
その後、香織と私は無言で見つめ合い苦笑いを浮かべる。
翔ちゃん大好きな美香。
その美香が、あまり私の事をよく思っていないくせに同じ班に入る事になった。
折角、楽しみにしていた修学旅行が少しばかり憂鬱になってくる。
はぁ…、
と軽く溜息をはいたら、英語の先生が教室に入ってきた。
一時間目の授業の始まりだ。
私から離れていく香織を見送り、それからチラリと隣の席で寝ている翔ちゃんをどうやって起こそうか思案する。
うーん、一向に起きそうにないなぁ…。
あ!
さっきのお返しに、私も翔ちゃんの頭を叩いちゃえばいっかぁ!
自分のノートを手に取った私。
勿論ノートは、この授業で使う英語のノートだ。
武器を丸め、構えた。
バシッ!!!
翔ちゃんをたたーく!!!!!
小気味良い音が、翔ちゃんの頭から聞えてきた。