【完】幼なじみのあいつ
「私が同じ班になってあげてもいいわよ?」
この声、何だか嫌な予感がする。
ううん、予感ではない。
確信めいたものがあった。
だって毎日のように、聞く声だもん。
そーっと声のした方へと視線を向ければやっぱりな…と、ガックリ肩を落としてしまった。
笑顔の美香ちゃんがそこにいた。
少しウェーブのかかった髪をかきあげた美香ちゃんが、翔ちゃんの机に乗っていた自分のノートを手に取る。
「もう、持っていっても良いかな?」
「んーーー」
机に突っ伏している翔ちゃんの返事に軽く頷きそしてまた、私達の方を見てきた。
「で、どうするの?」
ふふっ…と笑う美香の笑顔をジッと見る。
なんだこの子は?
まだ中学生なのに、なんでこんな色っぽい笑顔が出来るんだ?
このまま高校生になったら、どんな人になるんだろう?
末、恐ろしい---
ま、そんな事はどうでもいい。
私は香織と目を合わせ、お互いに頷きあった。