【完】幼なじみのあいつ


「とにかく、鈴が無事で良かった」



結局、亮ちゃんから何も追求されなかった。


早紀ちゃんに押されて階段から落ちたかも何て、言えないもんね。




「ねぇ、そこの君。宮本さんの鞄を教室から持ってきてくれないかな?今から病院に行こうかと思っているの」


そう言われた亮ちゃんは、はいと返事をし私から離れていく。




「あっ!亮ちゃん、翔ちゃんに今日の部活は休むって言っておいて欲しいの。後、明日の地区大会には出られそうにないって事も。…お願いね」



私の言葉に亮ちゃんは頷き、保健室を出て行った。


亮ちゃんが出て行った後、自分の言葉を振り返る。



『明日の地区大会には出られそうにない』…、自分で言った言葉なのに悲しくなってきた。


折角、この大会の為にバスケを頑張ってきたのにこんな事になるなんて…。




これでもう、私の中学バスケ生活が終わったなんて凄く辛い。



私の瞳から自然と、ポロポロ涙が零れてきた。




3年間、必死に頑張ってきたのに結果がこれ?


途端、私を突き飛ばした早紀ちゃんが憎らしくなってくる。




本当の事を言ってしまおうか?


そう思ったけど、…止めた。




これはしょうがない事なんだ…、と自分に言い聞かせて。



< 136 / 239 >

この作品をシェア

pagetop