【完】幼なじみのあいつ
「とにかく、鈴が無事で良かった」
結局、亮ちゃんから何も追求されなかった。
早紀ちゃんに押されて階段から落ちたかも何て、言えないもんね。
「ねぇ、そこの君。宮本さんの鞄を教室から持ってきてくれないかな?今から病院に行こうかと思っているの」
そう言われた亮ちゃんは、はいと返事をし私から離れていく。
「あっ!亮ちゃん、翔ちゃんに今日の部活は休むって言っておいて欲しいの。後、明日の地区大会には出られそうにないって事も。…お願いね」
私の言葉に亮ちゃんは頷き、保健室を出て行った。
亮ちゃんが出て行った後、自分の言葉を振り返る。
『明日の地区大会には出られそうにない』…、自分で言った言葉なのに悲しくなってきた。
折角、この大会の為にバスケを頑張ってきたのにこんな事になるなんて…。
これでもう、私の中学バスケ生活が終わったなんて凄く辛い。
私の瞳から自然と、ポロポロ涙が零れてきた。
3年間、必死に頑張ってきたのに結果がこれ?
途端、私を突き飛ばした早紀ちゃんが憎らしくなってくる。
本当の事を言ってしまおうか?
そう思ったけど、…止めた。
これはしょうがない事なんだ…、と自分に言い聞かせて。