【完】幼なじみのあいつ
「1000円だったかな?」
それを聞いた瞬間、私は目を見開いた。
赤い煙を出すだけで1000円?
高すぎじゃない?
「何かちょっと無駄遣いだね。いつく買ったのよ?」
「5個…」
「5個ぉ?!」
5千円も使ったの?
男子だけで買物に行かせるって言うのも、考えものだな。
私は呆れながらフーンッ…と呟きつつ、また手持ちの花火に火をつけた。
今度は淡い光を放ちながら、パチパチと線香花火の様に細かい火の粉を撒き散らす。
その光に見入っていたら、翔ちゃんが私の花火の火を利用して自分も手持ちの線香花火に火をつけた。
「…鈴。約束は?」
「約束?」
翔ちゃんと、約束してたっけ?
不思議に思いながら線香花火から翔ちゃんに視線を移すと、眉間にシワを寄せてムッツリしている翔ちゃんと目が合った。
「昨日、待ち合わせしたじゃん?」
言われて思い出す。
そういえば昨夜、あのコートで待ち合わせをしていたんだっけ?
「ここじゃダメなの?」
その言葉に翔ちゃんは一瞬黙り、そして辺りを見渡す。
周りにいる人達は花火に夢中になっていて、私と翔ちゃんの事など気に留める者は誰もいなかった。