【完】幼なじみのあいつ


「………」


何も言わずに立ち上がった翔ちゃんは、使い終わった花火をバケツの中に入れるとみんなの輪から外れ歩いていってしまった。


もしかして外コートに行くのかな?




取り合えず、私も着いて行こう…。


そう思った私は急いで儚く散っていった花火をバケツに入れ、翔ちゃんの歩いていった方に向かって走った。




あれ?


もう、翔ちゃんの姿が見当たらない---



電灯がほんの少ししかないこの敷地内の中にある明かりを頼りに翔ちゃんの姿を探してみたけれど、目当ての人物は見る影もなかった。



外コートに向かえばいいんだよね?


心の中で確認し、暗闇の中走っていく。




徐々に見えてきた、薄暗い外コート。


リング下では、寄りかかっている黒い人影がある。。



きっと翔ちゃんだ!




「鈴、遅いっ」


翔ちゃんの声にやっぱりだ…と、ほっとしながら駆け寄った。




「もう!先に行かないで一緒に行けば良かったじゃん」


ため息一つつき、翔ちゃんの前に立った。




「………」

「………」



何故かジッと黙ったままになってしまった翔ちゃん。


通常だったらこんな時は私と文句の言い合いでもするのにいつもと違う様子の翔ちゃんに、どこか居辛く感じた私は目を逸らすとコートの端のポツンと転がっていたバスケのボールに目をやった。



すると私の視界に入ってきたのは、翔ちゃんがそのボールに向かって歩く姿。




「翔ちゃん?」


話しをしないの?


そう言おうとしたところで、ボールを手に取った翔ちゃんが気になって口を止めた。




ドリブルを始めた翔ちゃん。



ダンッ、ダンッとゆっくり力強く突いていったボールをスリーポイントラインまで運び、両手でボールを頭上に持っていく。





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