【完】幼なじみのあいつ
ヒョイッと投げた翔ちゃんのボールが綺麗に弧を描き、ガコッとリングの中に気持ちよく入った。
タンタンタン…、
リング下に転がったボール。
目で追っているとそのボールを再度、手にした翔ちゃんはまたスリーポイントラインまで戻っる。
ジッとリングを見つめる翔ちゃん。
「翔ちゃん?」
一向に口を開かない翔ちゃんを促してみれば一瞬だけれど、私をチラッ見た。
けれどまたリングに視線は向けられ、そのまま両手でボールを投げ入れる。
小気味良い音をたてながらボールは先程同様、またリングにボールが吸い込まれていった。
先程から華麗に決まるシュート。
羨ましいな…、
そう思いながら翔ちゃんに魅入っていた。
「…鈴」
地面に落ちたボールをまた拾った翔ちゃんは、今度は手に持ったままジッと立ち尽くす。
「なに?」
「…命令なんだけどさ」
「う、うん…」
命令…。
なにを言われるのだろう?
手をギュッと握り締めると、かなり汗を掻いるのが分かった。
相当、緊張してるんだと気付く。
一瞬、私達の間に静寂が訪れた---
コクンと息を飲み込んだところで、翔ちゃんが一つため息をついたのが聞えてきた。
そして私に向き直る、翔ちゃん。
その瞳はいつもよりも真剣で、吸い込まれそうだった。