【完】幼なじみのあいつ
「な、に?」
「鈴、もしかして翔と何かあった?」
その言葉に、目を見開いた。
私と翔ちゃんの間に、何かあるわけないじゃない。
ため息をつき、首を振った。
「そうか……。でも泣いたのは翔関係だろ?」
まだ、この話しは続くの?
答えたくないのになぁ。
「何で翔ちゃんが出てくるの?翔ちゃんは関係ないよ」
「そうか…。なぁ、鈴。俺はお前が好きだと前に言ったよな?」
「……うん」
それは、覚えている。
亮ちゃんが私を好きだなんて、今だに信じられないけれど…。
「何があっても鈴を守るから、俺と付き合わないか?」
「えっ?………でも」
「鈴が誰を好きなのかは分かっている。でも思ってるだけじゃ、いつまでも前へは進めない。…彼女のいるヤツの事を忘れる為にも、鈴にとって良いと思うんだ」
言われてみれば…、そうなのかな?
翔ちゃんを忘れる為には、そのほうが良いのかもしれない…。
でも、そうしたら亮ちゃんを利用するみたいで心苦しい。
私は不安気に、亮ちゃんを振り返った。