【完】幼なじみのあいつ
そろりとベットから下りた私はテーブルの前にあるソファーへと座る。
そっと目の前にあるお粥のお皿に手を伸ばし、温かさを確認してみた。
熱々…と言う程でない。
でも、温かかった。
「保健の先生が持ってきてくれたのかな?」
御飯の横には昨夜もらった薬がまだ残っているのに、新たに薬が追加されていた。
こんなに薬、いらないのに…。
薬を見ていると苦味を思い出してしまうのでテーブルの端に置き、盆の上に乗っていたスプーンを手に取る。
黄色い色のお粥をすくい、口元に運ぶ。
「………おいしい」
ほっとする味付けにひっそり息をはき、それからまた卵の入ったお粥をスプーンですくった。
昨夜にくらべ身体が元気になったのか、これらなペロリと食べられそうだ。
「…みんな、楽しんでるかな?私も行きたかったなぁ…」
旅行を楽しんでいる皆を想像しながら、どんどんお粥を食べていく。
いつの間にかお椀の中身は、空になってしまった。
「ご馳走様でした」
手を合わせ苦い薬を飲む。
歯を磨いてからまた、ベットに潜った。
ベットにはもう私の温もりがなくヒンヤリしていて、寒さにブルッと身体から震える。