【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
さっさと歩いて外コートに辿り着いた俺は、そのまま鈴が来るのを待つ。
するとそんなに待たずして鈴は足音を響かせながら、俺の方に向かってくるのが見えた。
鈴の姿を確認した俺は、ホッとした。
来てくれたんだな---
これから、俺は鈴に命令する。
その事に酷く緊張してるのか、手が冷たくなっていることに気がついた。
その緊張を和らげるため足元に転がっていたボールをドリブルさせ、スリーポイントラインに立つ。
スポッ---
ボールが綺麗に弧を描き、ゴールに向かって飛び込んだ。
ホッと息をはく。
願掛けじゃねーけど、ボールが入らなかったらこの命令…、というより願いは叶いそうにないと思ってたから---
もう一度、ボールを持ちドリブルしながらスリーポイントラインに立った。
「翔ちゃん?」
願いは叶うか?
ボールに願いを込め投げた。
スポッ---
ボールはそのまままた、ゴールに吸い込まれていった。
ゴールから落ちたボールを拾いに行く。
「フゥ…」
気持ちを落ち着かせる為に呼吸を整え、ゴクリと唾を飲み込んだ。