【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
飯が終わると、今度はみんなで花火だ。
ゾロゾロみんなで外へ出る。
暗闇の中、煙に囲まれながら最初はボーっと各々やっている花火を見ていた。
そしてすぐに鈴の姿を探す。
あ、いた---
自分の持っている花火をジッと見つめていた、鈴のもとへと近づいていく。
夜の暗闇の中で花火をする鈴の表情はどこか情緒的で、俺はつい見入ってしまった。
…命令、するか。
そう…、
1on1の勝負の時の賭けで、勝った方が負けた方に命令出来るとか言う例のやつだ。
鈴の傍に寄った俺は、鈴の持っていた花火に自分の花火をくっ付け火をつけた。
「…鈴。約束は?」
「約束?」
覚えてねぇーのかな?
鈴にとってはどうでもいい話しなのかもしれない---
少しばかり落ち込みながらも、赤い色の光を放つ花火に目をやる。
「昨日、待ち合わせしたじゃん?」
「ここじゃダメなの?」
その言葉に辺りを見渡すが周りの人間は、こちらなど気にもしていない。
しかし誰も聞いてなくてもこの命令は、なんだかここでは言いにくいしな…。
無言で立ち上がった俺は、外コートの待ち合わせ場所へ向かう事にした。
鈴も俺について来てくれればいいんだが---