【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「…お前、バカ?」
「どこがよ?」
「付き合えっつったら…、付き合うっつー事だろ?」
「だからどこによ?」
この押し問答、誰かなんとかしてくれっ!
どうすればいいんだ?
と頭を掻きながら考える。
………こいつには口で言っても無駄なんだろうな。
しょうがねぇヤツだ。
俺は苦笑しながら手に持っていたボールを投げ捨て、鈴に近づいて行く。
「…こういう事だ」
鈴の前に立った俺はそのまま抱きしめた。
鈴の髪からふわりと香るその香りに包まれながら、目を瞑る。
このまま俺の物になれ、鈴---
「…それって命令なの?私の事、好きとかじゃないのに付き合えって事?」
「………」
あーっ!
なんでこう、こいつはゴチャゴチャ煩いんだっ。
「うっせっ!なんでお前、わかんねーんだよ。付き合えって言ってんだから、好きだって言ってるよーなもんだろうが?」
「…好き?」
「好きとか言うなっ!恥ずかしい」