【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
一瞬言葉を詰まらせた早紀ちゃんの、次に言葉で更に驚いた。
「別れてあげるから、最後にキスして欲しいの」
「えっ?」
「…お願い」
後ろを見ると、真剣な顔をしている早紀ちゃんと目が合った。
正直、どうしようか迷った。
キスをすれば別れてくれる?
いや、別れるのにキスなんてしちゃダメだよな?
でもキスをすれば別れてくれるって言うし---
迷った末、俺は早紀ちゃんに顔を寄せた。
しかし、寸でのところで押し留まる。
ここでキスなんてしてはダメだ…と、そう思い早紀ちゃんから離れた。
やっぱり別れ際にキスなんてするもんじゃない、そう言おうとしたところで---
早紀ちゃんが俺の腕を掴み、そのまま引き寄せられキスをされる。
「早紀ちゃん?」
「ごめんなさい。でも翔ちゃんが好きなんだもの」
そう言って駆け出した早紀ちゃんに、唖然と見送った。
この時はまさか、俺と早紀ちゃんのキスシーンを鈴が見ているなんて思いもよらなかった。