【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
誰も居ない無機質な踊り場に辿り着つくと、早紀ちゃんは振り返り俺をジッと見る。
「なんで別れなくちゃいけないの?」
その言葉に視線を彷徨わせる。
本当の事を言うべき…、だよな?
覚悟を決め早紀ちゃんをもう一度見ると、少し泣きそうになっているのが分かった。
「好きな人が出来た…」
「…鈴さん?」
いつもより低い声で話す早紀ちゃんに、驚いた。
っていうか鈴が好きだって、なんで分かったんだ?
「なん…で……」
「なんで分かったか?………私と付き合う前から、翔ちゃんは鈴さんが好きなんじゃないかと思っていたの」
驚いた…。
俺でさえつい最近、鈴の事を好きだと気付いたばっかりなのに。
「…っ!!!」
気まずい空気に背を向けたら、突然俺の背中に抱きついてきた早紀ちゃんに驚いた。
「別れたくないって言っても、もうダメなの?」
「ゴメン…」