【完】幼なじみのあいつ ~亮平の恋愛編~
「何ですか?」
「ね、私にお礼をしたいのならちょっと付き合いなさいよ?」
”お礼したいのならちょっと付き合いなさいよ?”
この女は一体、何を言ってるんだ?
お礼どころか俺はさっさと家に帰って、自分の腹を満たしたい。
そう思っていたのに…、
この時の俺は何故かその女を無下にも出来ず、唖然と突っ立ったままだった。
それがいけなかったんだろう。
その女は勝手に、事を進めていったのだ---
何も言わない俺の腕を引きずるように歩き始めたその女は、近所のコンビニで酒とつまみ、それからお菓子を買い物カゴにポンポン入れ始める。
唖然と見ているうちに、いつの間にか買い物が終わったようで、二人でコンビニの外に出た。
俺の腕を掴んだその女は、また歩き出した。
次は公園に行くわよ…、と言われた俺はただ引きづられるだけ。
勝手な女…。
苦手なタイプのこの女から、ここで逃げればよかったのに…、
何故かこの時の俺は、この人の傍を離れたいとは思わなかった。