【完】幼なじみのあいつ ~亮平の恋愛編~
「…お姉さん、心配して下さったのは嬉しいのですが、俺は別に自殺しようとしていたわけではありません。…でも、心配してくれてありがとうございました」
「………じゃぁ、橋の上から身を乗り出して何をしていたのよ?」
その女性は納得がいかないのか、腕を組み俺を睨みつけてきた。
まぁ、睨み付けられた所で痛くも痒くもないが…。
しかし、どうにも腑に落ちない。
そっちが勘違いをしてきたのに、何で俺が睨まれなくはいけないんだろうか?
理不尽だと思いながらも、橋の上から川原を指差した。
「…あの辺りに光る物が見えたので、何の光だろうと気になって身を乗り出して見ていました」
「光?」
その女性も俺が指差す方向に視線を向け、ジッと見る。
しかし今はもう、光なんてものは何も見えない。
暫く光を探していたその人は、何もないじゃない…と俺をまた睨みつけてきた。
そんな事を言われても、本当にさっきまで光っていたのだが…。
「さっきまで見えてたんですが、消えてしまったようです。…ご迷惑をおかけして申しわけございませんでした。俺はそろそろ帰ります」
もう、光なんてどうでもいい。
面倒になった俺は早口にそう言って、くるりと女に背を向けた。
そして一歩を踏み出した…、
が、俺の腕をその女が掴んだおかげで、歩く事が出来なかった。
部活帰りの為、お腹が空いている俺としては早く帰りたいのだが…と軽く溜息をはく。