ポチ。


「僕」は話しかけてきた。


「お前も一人なのか?」
「誰かとご飯を食べたり家族がほしいのか?」


(僕は君だよ。一人だった。)
そう言おうとおもって出てきた声はニャッという猫の声だった。





僕の声は今は「僕」には届かないのか。



でもその「僕」は下手くそすぎる全然笑っていない顔で笑った。

そんな気がした。





なんとなく僕も微笑み返した。

猫の顔は笑えてるのだろうか。



伝わっていても何かが変わるわけではないが。











顔をみつめていると「僕」の顔はあまり生気を帯びていないように見える。

(この頃はまだ僕は一人だったのか。)









なんだか彼の目を見ていると僕も寂しくなった。僕はこんな顔をして生きていたのか。




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