淡く儚い恋物語 Ⅰ ~君の隣で~


「それにしてもやぁっと姫かぁ~」






「俺があんだけ言ってた通りになったじゃねぇか」


「……」



さっぱり分からない


悠雅は分かっているみたいだけど


「奏さん?」


「あぁ、

俺はずーーっと前から悠雅に姫を作れって言ってんだよなぁ

誰にしろとかは指定しなかったけど俺の中では澪ちゃんしかいなかった。

でもまぁ悠雅は女嫌い…だからな…澪ちゃんのこと言っても
『倉庫と組に女は入れねぇ』

って…聞き入れてくれなかったんだよな」




…そうだったのね




悠雅を見上げるとやっぱり貴方は目を細めて愛おしそうに私を見下ろす




その表情にドキッと跳ねる心臓





パッと目を逸らすと

それをみていた奏さんが


「愛されてんなぁ澪ちゃん

澪ちゃんが姫になってくれて本当に嬉しい

もし他の奴が姫になってたら俺は権力使ってでもその位から引きずり下ろしてたな」




サラッと恐ろしいことを笑顔で言う奏さんは蒼と少し似ている






「権力?」



奏さんもやっぱり黒澪と関わりがあるのかしら












「こいつは蒼の兄貴だ」




低い悠雅の声で知った事実は、私が納得出来るものだった







…やっぱり気のせいじゃなかったのね、あの腹黒さ




「でもそれだけで権力が?」




「いや…

こいつは…」




めんどくさそうな表情で悠雅がいいかけた時奏さん本人がそれを遮る




「俺は、聖夜が副総長の時代の総長だよ?」








「……」




驚くことが多すぎてついていけない




「聖夜…」



すごく身近な人なような…




「お前の担任だろ…」




「あ…一条先生」

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