ツレない彼の愛し方【番外編追加】
事務所のビルから通りを挟んだ喫茶店。
カフェというよりは喫茶店と言う佇まい。コーヒーがとても美味しくて大きな窓から通りが見渡せ、日差しが気持ち良く入ってくる店内にホッとする。
「お待たせしました」
最後に修二さんを見たのは10日以上前だ。
少し髪の毛が伸びて、前髪を下ろしているから実年齢よりも若く見える。
それにスーツではなく、白いシャツにジーンズというラフな装いが余計にそう見せているんだろう。
「元気そうだね」
「はい、お陰様で…」
「良かった」
相変わらずの王子様スマイル。
修二さんがいなかったら、私はもっとひどいことになっていたかもしれない。
そう思ったら、本当に感謝の気持ちでいっぱいになった。
「その節は色々とありがとうございました」
「こちらこそ…綾乃の件は申し訳なかった。綾乃も反省してる」
「綾乃さんは今…」
「ニューヨークにいるよ。綾乃の父親がすべてを知ってね。ご立腹。反省して来いと海外へ送った」
「・・・そうですか」
そう言った後、どうしてなのか自分でもわからないけれど、なぜか言わなくてはという気持ちが先だって溢れた言葉。
「あの…綾乃さんは…修二さんのことを好きなんだと思います」
なんの脈絡もなく話し出した私に少し驚いた目を向けた修二さんだったが、どこかで予想していた言葉だったのか、すぐに目を細めて笑っていた。
「それに修二さんも…綾乃さんを大切に思ってる気がして…」
「響ちゃんは...ホントにするどいね」
「すみません、不躾なことを言い出して」
「いいよ。響ちゃんには迷惑をかけたからね、ちゃんと事情を話さないといけないとは思っていたんだ」
そう言う修二さんの口元をじっと見ていた。
「僕たちね、ずっと昔…まだ学生の頃、付き合っていたんだ。いとこ同士は法律上、問題ないでしょ?でも親や親戚には言いづらくて…内緒で付き合ってた」
その当時を思いながら話しているのか、遠い目をして車が行き交う大通りを見ていた。