かぐやの月
「ちょっと、銀司様や白虎様に可愛がられているからっていい気になんじゃないよ!」
ドンッ
夢野のように激しく肩を突かれたが、かぐやはビクともせず拳を握った。
女たちはビクッとして一歩下がった。
かぐやとまともに張り合えるのは銀司や白虎くらいだ。
「なによ!やる気?」
椿が息巻いた。
「私は皆と同じ、里を守りたい。ただそれだけ」
「はっ、生意気言ってんじゃないよ!くたばりぞこないがっ!」
椿は腰の短剣を引き抜き大きく振りかざした。
パシッ
「やめろ、椿」
短剣を振り下ろそうとした手を白虎が後ろから掴んだ。
「銀司!いつの間に、どうしてここへ?」
「おまえ、今醜い顔してるぞ。昔はもっといい女だったろうが」
「だって、銀司がかまってくれなくなったから。私、一生懸命修行して隊長になったんだよ!なのにあんたはかぐら、かぐらってこいつのことばっか」
椿が言葉を吐き捨てた。