かぐやの月
『なんて恐ろしいことを・・・』

かぐやは顔を覆った。


自分の娘が人間を愛したというだけでそこまでするだろうか。


確かに人間は争いをやめることなく


野心も疑心も多い。


しかし、それがすべてではない。


銀司や白虎、それにいろいろな人たちと過ごしてきて


悲しいこともあったけれど


喜びや慈しみの心を知った。


『かぐや、巻き込んでしまってごめん。僕が君のお母さんを愛したことでこんなことになってしまった』


『いいえお父さん、これまで確かに辛いことが多すぎた。でもね、いつも私の味方でいてくれる人たちを見つけたの。種族なんて関係なかった。私もお父さんやお母さんの気持ちが今はすごくわかる』


『生んだまま先に死んでしまって、恨んでいるんじゃないかと心配していたけれど、あなたは本当に素晴らしい子に育ったのね。かぐやは私たちの愛そのものよ』


夢だとわかっているのに


本当は死んで別の世界へ来たのかというほどかぐやの意識ははっきりしていた。


『お母さん、お父さん。教えて、漆黒の炎を消す方法はないの?」


かぐやの父と母は顔を見合わせて頷きあった。


『一つだけ方法はあるが、成功する確率は低い』


『教えて!』


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