かぐやの月
『私たちが魔物の体を操って、漆黒の炎を呑み込むからその間に魔物を殺すのよ』


『お父さんとお母さんの魂が囚われている魔物を殺さなければならないの?』


『心配しないでかぐや。それで私たちの魂はやっと静かに眠ることができるのだから。ただし、漆黒の炎を呑み込んだ魔物は桁外れの力を宿すわ。あなたに倒せるかしら』


『やってみる。友達の力を借りてやってみせる!』


『心強い友達ができたのね』


『あの、銀司って人にね、漆黒の炎を消すことができて里へ戻ったら結婚しようって言われてるの』


『その人のことを愛しているのね』


『大好き』


『あなたと彼の幸せを心から願っているわ』


『僕も君の幸せを願うよ。月が隠れるな、そろそろ時間だ』


『私たちの愛しいかぐや、幸運を』


そう言ってかぐやの両親は月が雲に隠れるかのようにスーッと闇にのまれた。


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