海恋
「えっ…」
「一度だけでも良いさ。
貝橋さんを、抱いてみたいば」
その時見た裕くんは、今まで見た事もない、悪魔のようなにやけ顔だった。
その瞬間、初めて裕くんを怖いと思い、背筋がゾクッとした。
「い、嫌…」
逃げようと後ろめたその時、ガシッと裕くんに腕を掴まれた。
怖い、よ……っ!
「大丈夫。
俺、イナグーには優しいやさからさ。
そんなに、怖がらなくても平気さ」
ニコニコする裕くんは、あたしの身体に触れようと、もう片方の腕を伸ばした。
やだ... やだやだやだ...。
誰か、助けて……っ!
「…離せよ」