先生、私じゃダメですか?
「吉野 愛」
「吉野さんね。俺は渋谷 仁、よろしくね」
彼はニッコリ笑った。
思わず、
ドキッとしてしまった。
「もう0時か。家に帰りたいなら、俺が車出してあげるけど……どーー 」
「ここにいたい」
私は渋谷の服を掴んだ。
家に帰っても、
私の居場所はない。
私の存在はない。
ただ、
使用人が仕事として
”お帰りなさい”と言うだけ。
もちろん、愛なんてこもってない。
「何があったか分からないけど、いいよ。吉野さんが、いたいのなら」
渋谷はお人好しだから、
本当は迷惑だと思ってるかもしれない。
けど、
今はその優しさに頼るしかなかった。