先生、私じゃダメですか?
〈渋谷side〉


「じゃあ私、部屋に戻りますね」


吉野さんはそう言って、

俺の前を走っていく。



俺は吉野さんの腕を
掴もうとした手を引っ込めた。


別に何か言いたいことが
あったわけじゃない。



ただ……


さっきの
吉野さんとあの男子の姿を見て


動揺している自分がいた。


「何考えてんだよ俺…… 」




動揺している。

なんで?


イラっとしてしまった。

なんで?



答えのわからない気持ち。


これは……


なんだ?



< 70 / 84 >

この作品をシェア

pagetop