支配を解く手段
‐時間:21:42

4階の更に奥に向かう俺達。さっきの軍服男が残していった血痕を追いながら、目的地へとたどり着いた。

「ここは……体育館か?」

「……血痕はここで途切れているわね。この中か。」

リッサはそう言うと、体育館の扉を開けた。

「!!?」

俺ら全員が驚いた。人質の生徒が、1人もいない。むしろ、目の前に広がっているのは、死体の山。警備兵と思われる死体が転がっていた。

「やっと来たか。……待ちくたびれたよ、君たち。」

体育館の舞台の上で、ボスらしき人の隣に軍服男が立っていた。

「早速だが、授業を始めようか。今回君らに教える教師は、俺の部下2人だ。」

タターンッ……

軍服男がそう言うと、2発の銃声が聞こえた。

「ぐっ……!」

「なっ……に……?」

撃たれたのは、ドライブとクリーンだった。

「2人とも!!」

「みやっ!!」

リッサとレッドが叫ぶ。軍服男の後ろから、2人の人が現れた。白いのっぺらぼうのようなマスクをした軍服の兵士が、ライフルを抱えて現れた。

「安心しろ。……2人には眠ってもらうだけだ。2人は邪魔だからなぁ。ゾウも一発で眠る強力な麻酔だ。……俺は君たち3人に、用があるんだよ。」

「っ……リッサっ……ご……め……。」

ドライブがそう言うと、静かに目を閉じて2人は深い眠りに落ちていった。

「……何が……狙いだ……。」

リッサが殺気全開で軍服男に訪ねた。リッサはロングコートを脱ぎ捨て、そして背負っていたライフルで、軍服男に向って発砲した。リッサはカンカンに怒っている。

「……俺はただ、教育をしたかっただけ。君たちにもう一度なぁ!!」

リッサの撃った銃弾は当たらず、軍服男が叫んだのを合図に、2人の兵士がこちらに物凄い勢いで向かってきた。

「どりあぁあぁっ!!」

バキィッ……

俺とレッドが2人の兵士を止めた。

「リッサぁ!!ブチかませぇっっ!!」

俺はリッサに叫んだ。それを合図にリッサは俺らを追い抜かし、軍服男の居る舞台へ向かった。俺は兵士の攻撃を防ぎ、力比べ状態だ。

「ぐぁっ……!」

すると、レッドが苦しげな声をあげた。

「レッド!!」

レッドは、顔の前で兵士のナイフを素手で受け止めていた。今にも力負けしそうだった。

「っ!!……負けるかよっ……のっぺらぼうめ……っ!!」

レッドはそう言うと、一瞬力を抜き、ナイフをギリギリ顔の前で通過させた。だが、

カランッ……

レッドの防毒面が、役目を終えたように落ちた。それを見た俺はレッドに叫んだ。

「!!……レッド……飲めっ!!」

レッドは、自分の手から流れ出る血を舐め始めた。

ジュルルッ……

不気味な音が響く。兵士は、構わずレッドに襲いかかった。しかし、

「……はぁ……美味し……。」

そう言いながら、レッドはヒラリと兵士の攻撃をよけた。

ジャラララッ……

「……。」

レッドは無言で、外套内からナイフを8本取り出した。そして、

ザクザクザクッ……

滑らかな動きで兵士の懐に入り込み、8本のナイフを一気に身体に刺した。

「ゴフッ……!」

兵士はそのまま絶命した。

「……血だ…………。」

レッドの顔は笑っていた。
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