優歌-gental song-
夕日にはまだ早い太陽が照らす町を歩く。


黄金に照らされる町は、朝見るそれとはまた雰囲気が違う。


そんな景色を目に焼き付けるように眺めながら歩いていると、ちょうど公園を通り過ぎる頃、声が聞こえた。


ふと視線をずらすと、公園で小さな女の子が声をあげて泣いていた。


迷子、だろうか。


それとも、けがでもしたのだろうか。


自然と体がそちらの方へと向かう。


「どうしたの?」


ぼくはしゃがみこんで女の子に尋ねる。


しかし女の子は泣きじゃくったまま、説明はしてくれない。


「けがしたの?それともお母さんがいなくなっちゃったの?」


女の子は混乱状態に陥っているのか、ずっと泣き続けている。


困ったな、と頭を抱えていると、ぼくの視界の端にふわりと光が舞い降りたように感じた。


「もう大丈夫だからね」


そういってふわりと泣きじゃくる女の子を抱きしめた。


ぼくの隣に舞い降りたのは、光ではなくて女の子だった。


よくよく見るとうちの学校の制服を着ている。


色素が薄く、可愛らしくて、穏やかで、優しさに溢れている。


こんな子、いたっけ?


そんなことを考えていると、彼女は歌い始めた。



目を閉じて、幸福そうに。



その歌声は穏やかで、優しくて、包み込まれるような安心感があって。



思わず聞き惚れてしまった。



しばらくすると女の子は泣くのをやめ、泣き疲れていたこともあってか、眠りについてしまった。


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