嵐は頭痛を運んでくる。【完】
本当はこのまま隣で横になっていたいけれど、今日は特別。
そっとベッドから抜け出して、鞄から“それ”を取り出す。
彼女がサプライズに弱いと知ったのはいつのことだったか。
喜んでほしい。そして――今まで言い出せなかった弱気な俺を許してほしい。
年上なのに頼りなくて、ごめんな董子。
入社したとき、凛とした横顔を見て、綺麗な子だなと思った。
どんなに忙しくても一つ一つの仕事を丁寧にこなす姿を、かっこいいと思った。
一人残業後に泣いている董子を見て、落ちて、
何も見てないフリで飲みに連れていったとき、
実は弱ってたんですと笑い、ありがとうございますと言った董子を見て、勝手に守りたいって思った。
嵐の日はだめ押しって感じだったな。
でも気持ちを伝えられて、董子も俺を好きだと言ってくれて。
あれから2年。
毎日毎日、董子を想う気持ちは増していって、でも将来を約束する言葉は言い出しにくくなっていって。
俺に異動が決まった。
このタイミングしかない。
だから、今日はちょっと決めさせてくれよな。