禁断のプロポーズ
 


 その日、未咲は雨の中、傘をさして、雨宿りをするという愚行を犯していた。

 ちょっと考え事をしていたのだ。

 雨で霞む公園を見るともなしに見ながら、ビルの軒下に立っていたのだが、青い傘の男が目の前を横切っていき、また、戻ってきた。

 こちらを振り向き、言う。

「お前、幾らだ」

「は?」

 眼鏡をかけ、仕立てのよいスーツを着た、やたら偉そうな男だった。

 顔は驚くくらい整っていたが。

 男は美咲を見、
「そこに立ってると、そうやって声をかけられるんだ。

 特にお前のように、傘持って、雨宿りなんぞしてるとな」

 そう教えてくれた。
 


 
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