禁断のプロポーズ
 克己はこちらに顔を寄せ、小声で言う。

「協力してやったんだから。

 なにか専務の情報も流しなよ」

「わかりましたよ」
と言ったとき、灰原が向こうからやってきた。

「未咲っ。
 あっ、水沢さんっ」

 未咲、か。

 っていうか、今、絶対、水沢さんの方を先に認識したはずなのに。

 私の名前を先に呼んだのは恥じらいかな、と苦笑する。

 そんな灰原の態度を可愛いと思ってしまった。

「いい人なのに、灰原さん」

 なんで、克己は彼女と付き合わないのだろう、と思いながら、そう呟くと、克己は、

「君、本気で言ってんの?

 扱いやすいいい人って意味?」
と小声で訊いてくる。

「……なんていうか。

 あの、どうしてそんなに外見と、性格が違うんですか。

 見た目王子様みたいなのに」

「王子は僕より、専務だろう。

 いや、夏目かな?」
と言うので、

「あれは武士ですよ」
と言うと、なにを思い出したのか、克己は、

「……言えてる」
と呟き、笑い出した。
< 107 / 433 >

この作品をシェア

pagetop