禁断のプロポーズ
「専務かもしれないじゃない。

 っていうか、なに。

 まだ、課長とか呼んでるの?」

「いけませんか?」

「いけなくはないけど。

 結婚して子供が出来て、

『今、忙しいから、それ、課長さんにやってもらって』
とか言うわけ?」
と克己は言い出す。

「いや、その頃には幾らなんでも、普通に呼んでるんじゃないですかね……?」

 スマホを片付け、
「もうちょっとしたら帰ります」
と言うと、

「一次会終わるまでは居なよ。
 幹事なんだから」
と克己は言うが、

「大丈夫ですって、このくらい盛り上がってれば」
と未咲は、第二秘書の美女軍団と他の部署の男たちを見回す。

「私が居なくなっても気づきませんって」

「そうかなあ。
 ああ、じゃあ、僕も一緒に出るよ」

「……それは気づかれますよ」

 百パーセント、灰原に気づかれそうな気がする。

「じゃあ、まあいいから、もうちょっと呑んで」
となにが、じゃあ、まあ、いいからなのかわからないまま、なみなみと酒を注がれてしまう。
< 110 / 433 >

この作品をシェア

pagetop