禁断のプロポーズ
 だが、すぐに夏目に引き剥がされる。

「い、いや、課長とそんなことしたことないですから」
と言うと、余計なことを言うな、という目で夏目に睨まれる。

 克己は、自分と夏目の間になにもないことを知っているので、別にいいような気もするのだが。

 案の定、克己はなにも気にする風にもなく、笑顔で、
「お世話になったお礼に、僕が朝ご飯作ってあげようか?」
と言い出した。

「えっ、悪いですっ。
 そんな」

「いやいや、別に悪くないよ。
 冷蔵庫の中のもの、好きに使っていい?」

 そう訊いてくる克己に、
「それは構いませんが」
と夏目が、少し申し訳なさそうに答える。

「気にしないで。
 料理好きなんだ。

 和食じゃなくていいかな?」

「はいっ」

「じゃ、支度してなよ。

 大丈夫。
 一服盛ったりしないから」

 爽やかに笑ってみせる克己に、未咲は、
「……そうわざわざ言われると、逆に不安になるんですけどね」
と呟いた。
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