禁断のプロポーズ
 


 いつも自分たちが使っているのと同じ材料のはずなのに、克己の作ってくれた朝食は、不思議にハワイ風な感じだった。

 ハワイというか、グァムというか。

 南の島風?

 見た目に、とても鮮やかだ。

 スパイシーで少し甘い。

 まあ、海外に行ったこともなければ、パスポートもとったことない人間なので、本当にそれが南の島風なのかは知らないが。

 ともかく、
「美味しいですっ」
と言うと、作ってくれた克己の方が何故か、嬉しそうに頭を撫でてくれる。

 夏目がそれを横目に見ていた。

「ねえ、未咲ちゃんは料理はどうなの?」

 そう問うてくる克己に、
「えっ。
 えーと、普通です」
と答えると、

「不味くはないです」
と夏目が微妙に訂正してきた。

 どういう意味だ? と睨むと、夏目は他所を向く。

「さてと。
 僕、もう行った方がいいんで、お先に。

 じゃ、夏目、服はクリーニングして返すから」

「いえ、そのまま返してくださって結構です」

 そう言いながら、夏目が見送りに立ち上がる。

 秘書の出勤時間は、少し早い。

 そう決まっているわけではなく、みんながそうしているので、なんとなくだ。
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