禁断のプロポーズ
 


「あんた、なにやってんのよっ」

 桜に腕を引かれ、未咲は弁当を抱えたまま、ちょうど人気のなかった給湯室に連れて行かれた。

「いやー、自分でもびっくりです」
と未咲は答える。

「ずっと会いたかった人を目の前にしたら、つい、感情が高ぶってしまって」

「……あんた、そんなに、遠崎が好きだったの?」

 桜は、胡散臭げにこちらを見やる。

 いや、違うと思うが。

 だが、学生時代、憧れていた相手よりも、熱烈に会いたかったのは確かだ。

「っていうか、遠崎はなに?

 あんた、ほとんど面識ないんでしょ?

 愛人課の美女に言い寄られたから、とりあえず、受けてみました、みたいな?」

 あんないい加減な男だったっけ? と言い出す。

 未咲は、少し考え、
「いえ、違うかもれません」
と呟いた。

「遠崎さんが、私のプロポーズを受けたのは、もしかしたら、桜さんが私を苦手なのと同じ理由かも」

「それって。
 あんたの顔があの女と似てるからってこと?

 なにそれ。
 同じ顔なら、誰でもいいって話?」
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