禁断のプロポーズ
 いずれ、夏目には話そうと思っているが、今はまだ、そのときではないと思った。

 話すのなら、まず、こちらが先だ。

「私には気になる人が居たって言いましたよね。

 私がその人と知り合ったのは、霧雨の降る夜の波止場でした」

「ドラマみたいね」
と桜は盛り上がっているが、いや、そんないいものではない。

「なんで私がそこにそんな時間に居たかと言うと、友達とご飯食べに行こうって言って、待ち合わせてたのに、友達が日にち間違って、来なかったからです。

 で、私も、ぼんやりしてて、友達に確認するのが遅れて、そんな時間に」

「急に間抜けな話になってきたわね」

「未咲ちゃんにロマンティックな話、期待しても無駄だよ」
と克己が余計なことを言う。

「友達が来ないってわかって、どうしようかな、と思って、お腹も空いたし。

 四時間も待ってたので」

「あんた、莫迦でしょ」

「携帯持たせてもらってなかったんですよ、まだ。

 公衆電話に行った隙に、友達が来たら、入れ違うなーと思って」

「えっ、それ、学生時代の話?」

「高校のときです」

 智久と出会うより、少し前の話だ。
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