禁断のプロポーズ
「うち、学校も厳しかったし。

 どうせ、持っていけなかったから、まあ、いいかって。

 で、友達の自宅に電話して、なんとなく波止場に戻ってきたら、その人が居たんです。

 一目で目を奪われました。

 ……その人、腹から血を流していたので」
と言うと、

「それは誰でも目を奪われるわっ」
と克己と桜が同時に突っ込んできた。

「ともかく、放っておけなくて、話しかけたら、もぐりの医者のところに行きたいと言うので、連れていって」

「あんた、危ないことするわね」

 桜が今、自分がその場面に遭遇しているかのように、緊迫した顔つきで言う。

「そのまま、しばらく、うちに匿ってたんですけど」

「うちに?」

「ま、正確には、うちの納屋にですかね?

 母屋から少し離れた納屋の上に、使ってない部屋があるんですよ。

 昔風の造りなので。

 でも、お母さんたちが急に入っていったらどうしようと、ハラハラしました。

 農機具がある納屋なんですが、今は、農業やってないですから、立ち入ることもないはずなんですけど」

 ふうん、と相槌を打った克己が、
「それで恋に落ちちゃったと」
と言う。
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