禁断のプロポーズ
専務室のドアをノックして入ると、ちょうど佐々木は居なかった。
居たら、佐々木さんにも、と思ったのだが。
未咲が、そう思いながら、ガラス越しに中を見ると、智久はパソコンに向かって考え込みながら、仕事していた。
あれ、ソリティアだったら笑うな。
このガラス張りって、もしかして、専務が仕事してるか見張るためにやってあるんだったりして、と阿呆なことを考え、へらりと笑ったとき、ちょうど智久がこちらを見た。
頬杖をついたまま、智久の口が動く。
「ば」
「か」
?
……相変わらずひねりないな、と思いながら、中の扉をノックもせずに、
「失礼します」
と勝手に入った。
「どうした?
帰ったんじゃなかったのか?」
「帰ったんです。
そして、行ってきました」
と言うと、当たり前だが、
「何処へ?」
と言う。
ふふふふ、と笑った未咲は百円ショップで買った可愛らしい祝儀袋を智久に差し出した。
「借金返しますっ」
と言うと、はあ? という顔をする。