禁断のプロポーズ
 高いランチね、と智久が失笑する。

 まあ、高級な食材を食べ過ぎて、カップ麺を食べたがる男にはわかるまい、と思った。

「それにしても、平山桜がお前に気を許すとはな。

 あの女、お前の姉さんのことは敵視していたようだが」

「桜さんは、愛人なんてやってる女はお嫌いだそうです。

 仲は悪くはなかったようですが。

 そういうところは許せなかったんじゃないですかね?」

「愛人ね……」
と智久が笑う。

「なんですか」

「言ってみれば、お前も俺の愛人じゃないのか。

 俺から、金もらって生活してたんだから」

「愛人らしいことをしたことはありませんが」

「してみるか」

「結構です。

 今、ナーバスなんですってば、貴方のせいで」

「俺のせいにするなよ。

 お前の出生のせいだろう。

 恨むのなら、親を恨め」

「貴方が墓場まで持っていけばよかったじゃないですか、その秘密っ」
と箸を置いて言うと、

「八つ当たりにも程があるぞ」
と言われた。

 まあ、ごもっともだが。
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