禁断のプロポーズ
「あんたが弱ってる男が好きなのと同じよ」

「夏目さんは別に弱ってませんでしたけどね。

 でも、確かに、時折、抜けてるところもあって。

 風呂の栓をせずに水を貯めようとしてみたり。

 そういうところは可愛いかな、と思いますね」

「あんたそれ、結婚前は可愛いと思ってても、結婚後は、この莫迦亭主がっ、とか罵るパターンよ」

「桜さんてば、結婚したこともないのに、耳年増ですね〜」

「結婚退職した先輩たちが、来てはそんな話してくのよ。

 それで、あーあ、また会社で働きたいとか言うの。

 あんなに結婚してやめたがってたのに。

 だから、私は結婚してもやめないわ。

 やめろと言われないように、頑張るの」

「桜さんなら、大丈夫ですよ。

 第二のエースですから」

「その、第二のが取れるといいんだけどね」
と眉をひそめる。

 顔だけのおまけの秘書、というのが嫌なだけではなく、あそこに居ると、誰かの愛人かと疑われるのが嫌なのだろうと思った。

 まあ、智久の愛人になら、喜んでなるのかもしれないが。

 いや、智久なら、独身だから、愛人じゃないか。
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