禁断のプロポーズ
「私のことも問題なんですが。

 私、専務のことも心配なんですよ。

 誰かいい奥さん居ないですかね?

 いや、桜さんでもいいんですけど。

 桜さんがちょっと可哀想っていうか」

 でもまあ、考えてみれば、私を二千万で買ったときには、智久には、此処までの展開が既に見えていたのだろう。

 会長と母に似た私の顔を見たときに。

 そういう人だから。

「だったら、闇雲に女子高生買ったりしないから、まあ、いいですかね」
と真剣に呟くと、桜に、

「あんた、なに言ってんの」
と呆れられた。

「あ、サボりだ」
と言う声がして、振り向くと、食堂入り口に、外から帰ってきたのか、鞄を手にした克己が立っていた。

「アイスちょうだい」
とやってくる。

 なんだか私より、水沢さんの方が犬みたいだな、と思っていた。

 可愛い感じの大型犬というか。

 ゴールデンレトリバーとか。

「はい」
とアイスを割ってあげると、

「ありがとう」
と言い、受け取ったあとで、

「なに見てんの?」
と言う。

「いえ、なんでもないです。
 すみません」

 先輩に対して、犬みたいですね、と言うのもどうだろうと思い、黙っていた。
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