禁断のプロポーズ
 智久は鞄からそれを出して見せた。

「お前の姉さんがわざとらしく此処に落としていったのは、こっちだよ」
と。

 それは未咲の手にあるのと同じイヤリングだった。

「智久さんの愛人だったんですね、おねえちゃんは」

「愛人じゃない。
 当時の俺は役員じゃなかったし。

 俺は結婚もしていない。

 ……ただの恋人だ」

「おねえちゃんと同じ顔だったから私を?」

「時系列的に逆だろう。
 お前が先だ。

 お前に似た女が居るな、と思ったんだ。

 あの秘書の娘だとわかった。

 お前と姉妹なのだと。

 父親は違うようだが。

 だが、あっちは色気があって、お前にはない」
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