禁断のプロポーズ
 



 未咲はもう、今日、はっきりさせよう、という思いで、智久のマンションに来ていた。

 彼の告白を聞いていたのだが、

「だが、あっちは色気があって、お前にはない」
と彼が言うのを聞いて、とりあえず、殴ろうかな、この人。事件とは関係なしに、と思っていた。

「第二に居るおねえちゃんが、誰かとコソコソ会っているようなので、みんなが勝手に愛人だと思ったわけですね」

「お前、俺があいつを殺したと思っているのか」

「いいえ」
と言うと、智久の口許がピクリと震えた。

 予想外だったようだ。

「あのですね。

 私は最初、誰かの愛人をやっていたお姉ちゃんが、邪魔になって殺されたとか。

 社内の大きな秘密を握って殺されたとか。

 そんな風に思ってたんですよ。

 夏目さんが言うように、自殺しそうな人じゃなかったんで。

 お母さんが居なくなって、小さかった私は養父母の許で育てられました。

 だから、おねえちゃんとは、そんなに会うこともなかったんですけど。

 いつもカラッとアッサリって感じだったですね」
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